公認会計士の年収はいくら? 高収入といわれる報酬体系の現実を解説

公認会計士の平均年収を解説

「公認会計士は仕事量と収入が見合わないからやめとけ」などと言われたことがありませんか?

公認会計士は残業や休日出勤が多いことからそのように思われるのかもしれませんが、現実はどうでしょう。

ここでは、公認会計士の働く場所や収入について正しい情報をお伝えし、公認会計士のキャリアパスについても具体的にご紹介しています。

監査法人に就職した場合の公認会計士の年収

監査法人に就職した場合の公認会計士の年収

公認会計士になるには国家試験に合格するだけではなく、「公認会計士登録」をしなければなりません。登録するためには2年以上の業務補助と3年間の実務補習を修了することが義務付けられており、合格者の大半は「監査法人」に就職して、業務補助の要件を満たしています。

監査法人とは、クライアント(企業)が粉飾決算などをして取引先や株主に損失を与えるのを防ぐために、クライアントが作成した決算書を監査し、適正であることを保証する組織のことです。

監査法人の中でも4大監査法人(BIG4)と呼ばれる「あずさ監査法人」「新日本監査法人」「監査法人トーマツ」「PwCあらた監査法人」のいずれかに勤務する人が圧倒的に多く、合格者の9割にも及ぶといわれます。

登録後は、監査法人に残る人や一般事業会社へ転職する人などさまざまですが、収入面を見ると公認会計士の年収は平均800万円程度であり、大手企業より若干高めです。

まず大手監査法人に就職したときの報酬体系について説明します。

大手監査法人では係長クラスで平均年収800万円が現実

大手企業とは一般に従業員1,000人以上の組織を指しますが、監査法人のBIG4の場合は従業員数が3,000~4,000人で、6,000人を超えるところもあります。そうした大手監査法人での平均年収は以下のようになっています。

【大手監査法人のポジション別年収】

ポジション 年収
スタッフ(社歴1~4年目の一般社員) 550万~650万円
シニアスタッフ(社歴3~5年目の係長クラス) 650万~850万円
マネージャー(社歴6~10年目の課長クラス) 850万~1,000万円
シニアマネージャー(社歴11~14年目の部長クラス) 1,000万~1,500万円
パートナー(社歴15年以上の社長クラス) 1,500万円以上

大手監査法人の初年度年収は550万円以上です。一般企業での大学卒業の初年度年収は、厚生労働省の調査結果では平均271万円ですから、監査法人が2倍近くも上回ることに。

シニアスタッフ(係長クラス)になると年収は平均800万円。一般企業の場合は、業績の良い会社の係長で平均年収570万円ほどです。

ここでも監査法人とはかなり違いますが、公認会計士は高度な知識を必要とする専門性の高い職業で、しかもプライベートの時間を持てないほどの激務なので、正当な収入バランスといえるでしょう。

マネージャーになる前に転職・独立する人が多いのも現実

管理監督者のマネージャーになると残業代がつかなくなるため、シニアスタッフのころと比較すると収入が減少します。年齢的には35歳~40代前半。給料が減ることに加え、出世競争が厳しくなることもあり、マネージャーのままで、あるいはマネージャーになる前に転職や独立するケースが多く見られます。

このように、大手監査法人に勤務した場合は、マネージャーからシニアマネージャー、パートナーへと昇進して、1,500万~5,000万円という上場企業の役員並みの年収を得る人は一握りというのが現実です。

公認会計士が転職・独立した場合の平均年収は?

公認会計士が転職・独立した場合の平均年収は?

公認会計士の経験を活かせる仕事は多岐にわたりますが、代表的なキャリアパスとしてコンサルティング会社や一般事業会社へ転職する方法と、独立開業する方法があげられます。それぞれの業務内容や収入について見ていきましょう。

コンサルティングファームへ転職した場合

公認会計士が監査法人から転職するコースとして最も多いのがFAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)系のコンサルティングファームです。

企業の課題を見出し、戦略を立てて支援していくのが主な仕事です。監査法人でのキャリアを活かせることはもちろん、年収も監査法人より下がらないことが人気の理由です。年収としては30代前半で500万~800万円の求人が多く、中には年収1000万円以上も可能というファームもあります。

一般事業会社へ転職した場合

監査法人から一般事業会社へ転職する公認会計士も多いのですが、その中でも人気の転職先が総合商社とベンチャー企業です。

総合商社へ転職

総合商社での公認会計士が働く部署は、経理・財務部のほかに、経営管理部(経営者の右腕となって中長期経営計画の策定などを行う部署)やIR部(インベスター・リレーションズ:株主に対する情報提供などを行う部署)もあります。

総合商社が求めるのは、即戦力となる監査法人出身の公認会計士なので、年収も監査法人の水準より下がることはありません。30代前半で800万円程度が目です。

ベンチャー企業へ転職

最近、人気上昇傾向にあるのがベンチャー企業への転職です。転職のきっかけは人それぞれですが、「IPO(株式上場)準備企業に携わりたいから」「小規模のほうがいろいろな業務を担当できるから」といった声が多く聞かれます。

年収は監査法人やコンサルティング会社よりも低いケースがほとんどで、目安は年収500万~600万円です。ただし、株式上場を実現したときには大幅に上がる可能性があり、30代で年収1,000万円以上というベンチャー企業もあります。

公認会計士として独立開業した場合

コンサルティング会社や会計事務所、一般事業会社に勤務してキャリアアップし、それから独立開業する公認会計士も多く、年代としては30代後半から40代に多いようです。

独立した直後は顧客が少ないため、年収は400万円程度がほとんどです。しかし、実力の世界なので顧客を増やして軌道に乗せることができれば、監査法人での収入を大きく超えることができ、年収2,000万円という人も珍しくありません。一方、2年目になっても年収400万円未満という人がいるのも現実です。

【まとめ】現実を知って自分に最適な働き方を見つけよう

医師と弁護士に並んで三大国家資格いわれる公認会計士。試験の難易度は高く、合格するには3000時間の勉強が必要といわれています。そんな難関を突破してきたのですから資格を存分に活かしたいもの。

昨今はAI(人工知能)の登場で「公認会計士は食えない資格」などと言われることもありますが、AIにできる仕事は単純で定型的な仕事に限られ、コンサルティングのような高度な業務は人間でなければできません。

また、企業のグローバル化が進むにつれ、公認会計士の働く場所も国内にとどまらず、海外にも広がっています。

この記事で紹介した公認会計士の働き方はほんの一部です。就職してから後悔することのないよう、現実と将来性しっかり見つめて、自分が最も活躍できるフィールドを探すことをおすすめします。

投稿日:2021年12月3日 更新日:

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